Terrapene: Process Management Suite®
プロセスベースのマネジメントシステムの支援にソフトウェアの利用をお考えの組織の皆様に
プロセスベースのマネジメントを支援するための,と称するソフトウェアプログラムの数が増え続けています。それらのほとんどにフローチャート作成機能が搭載されていますが,その多くは,他の目的で設計されたフローチャート作成プログラムをもとに作られたものです。
プレクサスコーポレーションは5年間にわたる調査の結果,ほとんどの組織にとって,フローチャートの作成が,プロセスベースのマネジメントシステムをマップ化し,構成し管理するための有効な決め手とはならないことを突き止めました。ほとんどの組織が個々のプロセスに対するフローチャート作成の有用性を挙げていましたが,その一方で,プロセスベースのマネジメントシステムの支援にはフローチャート作成ソフトウェアを推奨しないと断言し,その理由をいくつも挙げていました。
その理由として最も多く挙げられたのは, 使用及び理解の難しさでした。特定の人々はフローチャートについてかなりよく理解しているが,フローチャート作成の全容,特に組織にとって有用なものとするために必要とされる詳細なレベルまでということになると,皆が理解しているわけではないというのが,ほぼすべての組織に共通する感覚のようです。理解者が少なければ,フローチャートを正しく作成し,そして後には組織内の様々なプロセス所有者によって作成されるフローチャートを利用し理解するために,組織内で必要とされる時間と知識は著しく増加していきます。多くのフローチャート作成プログラムが,個人または小グループで自組織のプロセスをフローチャート化する,という想定に基づいていることは明らかです。これはすなわち,プロセスベースのシステムにおいて重要とされる,プロセスの所有という感覚を抑制するものであり,プロセスで本当に起こっていることが正確に反映されなくなるのです。
次に多かったのは, 重層構造」及び非直線関係の表示ができない というものです。フローチャートを利用して,プロセスベースのマネジメントシステムを体系化しようと試みた(そして失敗した)ほとんどの組織は,大きなプロセスの中に含まれている,より小さなプロセスを示すことがいかに難しいか,即座に気付いています。実際,フローチャートはより大きなプロセスへと向かって統合されていくプロセスの「重層構造」を示すのではなく,1本の線上に連なるプロセスを示すよう設計されたものです。その重層構造の様子及び複数の関係性を加味しなければ,プロセスを正確かつ有用な形で表現することができない場合,これをフローチャートで表そうとしても作成者は混乱するばかり,ということになります。
そして三番目に多かったのは,その 不整合性及び不連続性 です。出典によって,フローチャート記号の表す意味は異なります。決定を表す記号をひし形とするものもあれば,二等辺三角形とするものもあります。フローチャート作成者が自分で決めた記号を用いて作成されることもしばしばです。これは,その作成プロセスに関与した人々にとっては良いことなのでしょうが,それ以外の人々にとっては,そのシステムに慣れるまでが大変です。特に組織中の様々な部署で記号の意味が様々に異なる場合,審査員,新入社員などは,そのフローチャートの解読に苦労することになります。
プレクサスはこのような顧客の声に耳を傾けました。プロセスベースのマネジメントシステムを実施し,伝達し,運営管理し,監査する組織を支援するためのソフトウェアプログラム開発の必要性を認識した時,プレクサスは,フローチャートではおそらくその最良の解決策とはならないと実感したのです。そこで,プレクサスはモデル化という面から取り組むことにしました。プロセスベースのシステムのために設計されたモデル,すなわち「タートル」図を適用することにしたのです。
Terrapene Process Management Suite™(テラペン)の基礎を形成しているのはタートル図ですが,これはモデル化に最適な図です。プレクサスはタートル図及び他に類のないその特徴をテラペンソフトウェアに組み込みました。これが,プロセスベースのマネジメントシステムで使用するソフトウェアとして,フローチャート作成ソフトウェアよりもテラペンを数段優れたものにしているのです。
テラペンユーザーは, 使用及び理解が容易である,という感想を挙げています。また,テラペンを使うことによって,マネジメントシステムにおけるプロセスの 「重層構造」及び非直線関係の表示 ができるようになった,さらには,整合性及び連続性 も十分である,というコメントも得ています。それは,タートル図そのものは変化せず,変化するのはそこに加えられる情報及び関係性のみであるため,その構成は変化しないことによります。
では,テラペンの主要な特徴及び機能について他の手段と詳細に比較検討してみましょう。
プロセスマネジメントの方法として代表的なものを数種類と,Terrapene Process Management Suite™の能力を比較してみますが,その中には御社のマネジメントシステムを支援するための手段として導入を検討している,あるいは現在利用中のものが含まれているかもしれません。
現在御社で適用されている取り組み方法には,プロセスベースのマネジメントシステムから期待される利益を最大限に引き出すために必要な能力がありますか?
以下の表を参考にして,御社のマネジメントシステムの管理方法と Terrapene Process Management Suite™とを比較してみてください。
また参考として,次ページに掲載されているキャデラック プロダクト社のテラペン利用体験レポートも併せてご一読ください。
能力 |
Terrapene |
コンピュー |
紙版 |
プロセス |
各プロセスについて,何を用いて, 誰が, どのように 及びパフォーマンス という項目で分析する |
YES |
YES |
YES |
|
各プロセスの重要要素を表示する |
YES |
NO |
限度有り |
|
各プロセスの所有者を特定する |
YES |
YES |
YES |
|
各プロセスの重要指標を特定する/p> |
YES |
限度有り |
YES |
|
各プロセスの重要指標を監視する |
YES |
NO |
NO |
|
コア,支援及びマネジメントプロセスの 順序及び相互作用を1つの画面で簡潔に表示する |
YES |
NO |
限度有り |
|
様々な水準のプロセスを支援する |
YES |
NO |
NO |
|
プロセスを表示している画面上から関係文書に アクセスする |
YES |
限度有り |
NO |
|
個々の及び複数のプロセスにメッセージやノートを 添付し,表示する |
YES |
NO |
NO |
|
注意情報(アラート)を作成し,その場であるいはスケジュール化して表示する |
YES |
NO |
NO |
|
マネジメントシステム内で指摘事項が発見された場合,報告書を作成し表示する |
YES |
NO |
NO |
|
ISO,TS及びAS マネジメントシステム規格/要求事項にその場でアクセスできる |
YES |
NO |
NO |
|
プロセスのスタッフ,パフォーマンス及び活動内容を確認し,システム中の類似のプロセスと比較する |
YES |
NO |
NO |
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複数のマネジメントシステム内のプロセスを監視する |
YES |
NO |
NO |
|
プロセスやシステム全体をパッケージ化して共有する |
YES |
限度有り |
限度有り |
|
自動車産業サプライチェーンで生き残り,勝者となるために
組織の最大限の利益を目指して品質マネジメント要求事項を利用することが必要である著者: デニス・ジェントリー氏
品質担当取締役 兼 統括責任者
はじめに
品質マネジメントの権威であるフィリップ・クロスビーの有名な言葉に「品質は無料(ただ)」というものがある。この言葉は発表当初,品質マネジメント界を席巻し,これをタイトルとした本も大いに売れた。しかし,これは当時も,そして今も,自動車産業界における品質の現実を反映したものではない。ほとんどのサプライヤー組織にとって,品質とはコストなのである。
自動車産業サプライヤーにとって,コストは重要である。サプライヤー組織が定期的に見直し,支払うべきコストがあり,その作業をサポートするためのコストもある。現実の及び想定上の問題を解決するための,さらにはその発生にサプライヤー組織はまったく関与していない問題であっても,それを解決するための隠れたコストもある。存在していることが分かっている問題を解決する能力を向上させるためにコンサルタントを雇うためのコストも必要だ。「問題解決」に関連する業務を担当する要員を増員する及び/又は配置転換させるためのコストもある。まったく,気が遠くなるほどの投資である。
しかし程度の差こそあれ,ほとんどの良識ある自動車産業界のサプライヤーは,なんでもないことのように装って,この現実に耐えている。結局のところ,あるいは彼らがそう認識しているように,品質マネジメント認証取得は,購入しなければならない切符であり,これがなければ自動車産業というバスに乗せてもらえないのだ。サプライヤーがこのコストを引き受けているのは,自動車メーカー及び他の自動車産業サプライヤーとの持続的で拡張し続けるビジネスこそが真のROI(投資回収率)だからである。帳簿上は良好に見えるROIであっても,実際に成果は上がっていないというサプライヤーは多い。成果が上がっているというサプライヤーであっても,その投資回収率は期待以下であることがしばしばである。
何ができるのだろう? サプライヤーの利幅を減らし続け,期待ばかりを煽っているかのように見えるこのシステムの力学を変えるために,典型的な自動車産業サプライヤーに一体何ができるというのであろうか?
経験
これから私が述べることは,自動車産業サプライチェーンにおける私の長年の経験に培われたものであるということを,まず皆さんにお知らせしておきたい。私は,中規模の自動車産業サプライヤー企業に34年間勤めている。その間,組織の様々な地位を経験してきた。現在は品質担当統括責任者である。この間,様々なマネジメントシステムが現れては消えていくのを見てきた。品質に関する様々な発案がなされては消滅していくのを見てきた。他のものよりましなものもあったが,私の会社も私個人も,そのいずれもが大差ないということを悟った。
また,通常の私は興奮しやすい性質ではないということも,皆さんに理解しておいていただくことは大切だと思っている。私の友人そして職場の人間のほとんどは,私のことを,大抵の場合穏やかで,感情の起伏のあまりない人間だと皆さんに伝えるであろうと確信している。そしておそらく,問われたらこう付け加えるであろう。「穏やかだけれども,信じていることに対しては情熱的だ」と。こんな自分が私は好きだ。
なぜこのようなことを私がお伝えしているのか,疑問に思う方もあろう。それはひとえに,私の興奮の凄さを皆さんに理解していただきたいからに他ならない。その興奮とは? 自動車メーカーから要求されているマネジメントシステム,すなわちTS 16949:2002の要求事項に基づくシステムから得られるプラスの結果の潜在的な大きさに興奮しているのである。
TS 16949:2002を正しく実施し,適切なツールで支援して,確実に達成すれば,組織の有効性及び効率性は改善され,組織で働く個人個人の労働生活の質が向上し,組織の収益性も上向く,と私は確信している。QS-9000に焦点を当ててきた過去数年間,及びTS 16949:2002に焦点を当ててきたこの18ヶ月の間に,私の組織と私自身が得た経験を踏まえ,私はこれからお伝えする結果とアドバイスが皆さんの役立つものであると確信している。
実施の前に
TSを実施する前に理解しておくべきポイントがいくつかある: 1)QS-9000の認証を保有している場合,TS 16949で要求される文書の99.9%はすでに揃っている 2)プロセスベースのマネジメントシステムの潜在的重要性及び影響を本気で反映させようとする必要がある。 すべての文書を書き直す必要はなく,またほとんどの場合,TS 16949を実施するための文書を追加する必要もない。QS認証登録組織であれば,すべての必要文書がすでに揃っているかもしれない。これはほとんどの組織にとって,嬉しいニュースであろう。そして,さらに良いニュースもある。長期にわたって,実質的に文書化の必要性を著しく削減できる可能性があるのだ。それには2つの方法がある。1つ目は,業務やプロジェクト,部門にではなく,プロセスに焦点を当てることに本気で取り組むようになると,システムには莫大な量の余分な文書や重複した文書が含まれているのが見えてくるはずである。そして徐々に文書は一本化されていくであろう。2つ目は,マネジメントシステムの可視化を進めていくと,説明調の長い文書の必要性が少なくなっていくことに気付くはずである。これによって,大量の文書をまとめることができるのである。一枚の絵は千の言葉よりも価値がある,というのは真実だ。
もしもあなたが,TS 16949:2002に対する適合を達成するには,QS-9000の現在の適合事項をマップ化し,それを参照してTS 16949ベースのシステムに適用するだけでよいと聞いているのであれば,あなたは間違った情報を与えられている! これは,組織のプロセスの順序及び相互作用を明確にするという要求事項を無視する活動であり,不適合と見なされるだけでなく,まったくの時間の無駄である。さらに悪いことに,この活動はシステムを改善したいというあなたの意向を阻害する。いわゆるマトリクス尊重主義から生じる真の結果とは,混乱と凋落である。私は次のような経験をし,学んだ。私が監督していた生産事業所の1つ(私は5つの製造事業所の責任者である)が,このマトリクス尊重主義に嵌ってしまったのである。その結果,この事業所は混乱をきたし,適合審査の準備が整わなかった。そして,真のプロセスベースのマネジメントシステムを実施することによって得ることができるとされている改善効果は,何一つ生まれなかったのである。
しかしこれではまだ,「真のプロセスベースのマネジメントシステムとは何か?」という問の答えにはなっていない。
プロセスベースのマネジメント
プロセスベースのマネジメントシステムとは,要するに,個々にあるいは一丸となって予測可能な結果へと導くことのできる一連の体系化された構造である,ということに我々は気付いた。これはつまり,次のことを意味する。まず,そしてこれが特に重要であるのだが,組織は前もって,「プロセスアプローチ」の意味するところ,つまり,組織は業務が完了をしたことをどのように理解し,その結果をどのように測定するかということに対する考え方を変える必要がある,ということを認識しなければならない。
現在,ほとんどの組織は膨大な数のプロセスを有しているが,それらについて本当に理解している訳ではないので,ほとんど管理も支援もされていない。組織がマネジメントしているのはプロセスではなく,人や物なのだ。ただし,プロセスが完全にマネジメントされている領域が唯一つだけある。それは製造現場である。たいがいの製造業を営む組織は,そこではかなり良い仕事をしている。問題を起こすプロセスは通常,製造プロセス(組織はこのプロセスをプロセスとは見なしていないが)とインターフェースで結ばれているプロセスだからである。
プロセスベースのマネジメント(TS 16949の「プロセスアプローチ」)は,組織に自身をマネジメントするためのモデルを受容れるよう要求している。このモデルは,組織のメンバーが自分達の組織を,互いにつながり合い,相互に作用し合って1つの完全なシステムを作り上げる一連のプロセスとして見ることができるようにするためのものである。プロセスとは人が行った仕事の結果ではない。プロセスとは人が行う仕事である。これがその考え方である。このように考え方をシフトチェンジした組織は大きな影響を受け,プロセスをマネジメントの焦点に据えるようになるのだ。
プロセスに焦点を置くということは,組織にプロセスのマネジメントと矛盾なく活動することを強いる。他のマネジメント方法と同様,プロセスベースのマネジメントも,それに適した標準的な要素を採用するよう組織に要求する。我々にとってプロセスベースのマネジメントへの移行は時に困難な場合もあったが,その結果に我々は満足した。プロセスベースのマネジメントによって,それまでに実施していたマネジメント要素の多くが強化され,さらには,これが我々にとって最も重要であったが,予想外のプラスの結果が生じたのである。我々が採用したプロセスベースの要素のいくつか(すでに我社の当時のマネジメントシステムで使用されていたものもある),及び各々の結果を以下の図に示す。
![]() |
プロセスの特定及び可視性
ステップ1は,現在組織をマネジメントしリードしている個々人を引き合わせることである。これらの人々が部門長,監督あるいは統括責任者であるというようなことはまったく関係ない。そうではなく,組織の「コア」プロセスは特定されており,そのコアプロセスに対するプロセスの所有者を割り当てることができる,ということが最も深く関係するのである。
コアプロセス(これらのプロセスは組織の「マクロ」プロセスと呼ぶこともできる)の特定について,通常最初の特定段階においては,最終的に採用されるよりはるかに多くのプロセスが特定される,と予想できる。それはなぜか? 各個人が所有するプロセスは自分にとって重要なものであるため,各人が自分のプロセスこそはと推挙するからであろう。これは悪いことではない。なぜなら,特定されたプロセスは何らかの方法で利用されるであろうし,プロセスがシステム全体の中のどこに納まるのかということについて,悪戦苦闘しながら確認することによって,自組織のプロセスに対する理解度を深めることができるからである。
そして最終的には,それらのプロセスの中から本当のマクロプロセス,そしてそのマクロプロセスの「中身」を実際に構成しているプロセスを判別する,あるいはマクロプロセス及びマイクロプロセスのマネジメントを支援するプロセスを判別するために,プロセスのリストを統合する必要がある。しかし,これは危険な綱渡りのようなものである。プロセスが多すぎれば,組織は取り扱い能力を超えたインターフェースを管理することになり,顧客リスクが増大する。プロセスが少な過ぎれば,チェックから得られるロバスト性がなくなり,複数のプロセスと複数のプロセスの所有者とのバランスが取れなくなる。
マクロプロセスの範囲及びその骨格が完成すれば,プロセスの次の水準(より大きな,すなわちマクロプロセスを構成するミクロ(より小さい)プロセスのこと)の特定を手伝ってもらうために,そのプロセスで働く人々を集める,という次の重要ステップの準備も完了である。 私の組織そして私は,この特定作業の促進及び記録を支援するために「タートル」図法を利用することにした。タートル図は,インプットとアウトプット,そしてプロセスを4つのパート/ボックス,すなわち何を用いて,誰が,どのように,指標,に分割したボックスで構成される単純な特性要因図である。さらに,我々のこの活動のために,Terrapene Process Management Suite(テラペン)というソフトウェアを購入した。このソフトは「タートル」図法を基本としているので,効果が期待できそうに思えた。タートル図法もテラペンも,理解しやすく利用方法も簡単であった。
しかし誰もが驚いたその結果とは,プロセスの可視化が特定作業をしていた人々に与えた影響の大きさであった。彼らはそこで20年程も働いていたにもかかわらず,まるで初めてそのプロセスを見たかのようであった。作業が完了した後には,プロジェクターを使って会議室の壁にタートル図を投影して皆で見たり,テラペンソフトウェアを使って関係者に配信したりした。これらの活動を通じて,プロセスで働く人々は実際の業務との矛盾点を即座に判断することができるようになったのである。そして可視性を得たことによって,プロセスの所有者及びそのプロセスで働く人々は,余分なあるいは価値を付加しないプロセスに異議を唱える及び/又は指摘することができるようになったことが,即座に見て取れた。
プロセスの所有権及び責任
プロセスが特定され,可視化されたその次のステップは,所有権の割り当てである。プロセスが,システム内の他のプロセス及びそのシステムの顧客のニーズを満たすものを,確実に生産することに対する責任を担っているのは誰か?
紛れもなく,プロセスベースのシステムにおいて欠くことのできない役割を演じているのは,プロセスの所有者である。システム内の他のプロセス及びプロセスの所有者が,必要なものを必要な時に確実に受け取るというプロセスのパフォーマンスに対して,そのプロセスの所有者が細心の注意を払うのは当然のことである。これが行われていない場合,また,次のプロセスのインプットとなるあるプロセスからのアウトプットが正しくない場合,あるいは,時間通りにインプットが投入されない場合,システムはこの事実を直ちに検出するべきである。迅速な検出によってその問題の悪化を防ぐことができる。そしてこの検出そのものが,その問題が複合的な問題をひき起こしたり,複合的でより大きな問題の一因となったりする前に,恒久的な是正を適所で行うことを可能にするのである。
繰り返すが,プロセスベースのマネジメントでは,システムで評価するのはプロセスであって,人ではない。人,すなわちプロセスの所有者には,プロセスのパフォーマンスに対する責任があるのだ。
インプットとアウトプット,測定,及びパフォーマンス指標
一般に,製造業の組織は製造現場における測定の取り扱いに長けている。それゆえ,彼らは測定によって裏付けられる予測可能性及び診断という利得を得ることができる。この場合,一番大きなプロセスの声は,何が入ってきて,出て行くのは何か,そしてどのくらいの割合で? ということを示すパフォーマンス指標である。
しかし,経理,購買,研究開発,そして設計といった人々とプロセスについて話そうとしても,ただ儀礼的に頷かれたり,ぽかんとした顔で見つめられたりするだけであろう。 それでもなぜこれらの部門の人々と,プロセスについて話し合う必要があるのか? その答えは,プロセスベースのシステムとは,組織のすべてのメンバーが一丸となってこのシステムを利用した時に最高の働きをするからである。組織の誰もが同じ土俵に立つという明らかな利得に加えて,他にもすばらしい利得が少なくとも2つある。世界中の製造業者が,購入したその日に壊れてしまうような単純なアイテムの製造から,30年使ってもほとんど,あるいはまったく故障知らずの複雑なアイテムの製造へと移行できたのも,このプロセスベースのシステムを利用したからこそであったのだが,製造部門外のプロセスでも,このプロセスベースのアプローチの強みを製造部門と同様に利用できるのである。これが1つめの利得である。次に,効果的かつ効率的に機能しているシステムであるためには,システムのあらゆる面が,そこで生産されるべき製品またはサービスを生産する際の要求に合わせて,互いにインターフェースで連結されているか,そうできる能力を備えていなければならない。プロセスベースのアプローチによって,このインターフェースが得られる。これが2つめの利得である。これらインターフェースは2つのプロセス間に設定されることもあれば,複数のプロセスがすべて一度に結び付けられている場合もある。いずれの場合においても,インプットとアウトプットは,一連の潜在的なインプット及びアウトプットの中にある次のインプット又はアウトプットの要求事項を満たしていなければならない。過去には,「我々はアウトプットを我々の基準で測定したところ,我々のスペックを満たしていた。従って,そちらのスペックも満たしている」という個々のプロセス(そしてその所有者)が発する「声」が,ほとんどの場合,許されてきた。真のプロセスベースのシステムにおいて,これはもはや通用しない。プロセスベースのシステムにおいては,他のいずれかのプロセスのインプットとなるアウトプットは,そのプロセスの期待を満足しなければならない。組織が一旦,この種の連携関係の利得について認識するようになり,インプットからアウトプットへ,そしてアウトプットからインプットの測定の連携を奨励するだけでなく,連携の確立を要求するようになると,プロセス及びそのシステムの改善が始まるのである。
我々はプロセス及びプロセスの測定の向上に取り組んでいた時に,各プロセスのアウトプット側に組み込まなければならない指標が,少なくとも3種類あることを発見した(デフォルトの設定ではこれらはインプット側にも適用される)。その3つの指標とは,1)顧客が要求するあるいは必要とする指標のいずれか 2)規格,法律又は法規制によって要求される指標 3)システム自体が要求する指標,である。概して,指標によってプロセスパフォーマンスの目指すべき方向性が確固たるものとなる。
つながり及び共同性,共通性及びベストプラクティス,スコアカード及び事実によるマネジメント
少し無理なようにも感じたが,その要求事項がもたらしてくれるであろう価値を享受するためには,TS 16949:2002認証取得計画に新しい要求事項を完全に含めることが最良であろう,と我々は決定した。これは正しい選択だった。
このように決定したことによって,不必要な重複が削減され,説明責任が向上し,透明性が増し,自らのパフォーマンスによって測定するシステムへと移行することができるようになった上に,予想もしていなかった利得を得たのである。
プロセス自らが互いに連結し合っていることを示すようになったので,そこに関わる人々を集める必要が生じた。ただし,彼らは業務を上手くやっていくために集められたのでも,話を交わすために集められたのでもない。彼らは,共有するプロセスについて語り合うために集められたのである。その焦点は,彼ら一人ひとりにあったのではない。彼らの関わっているプロセスにである。
共同性とは,奨励する必要のないものであった。それは単に必要に応じて生まれるものであり,避けられるものでもなかった。インプットとアウトプットは魔法のように一体となる訳ではない。2つ以上のプロセスと,そこで働く人々が協力しあうことによって生じるのである。
システムの中で共同性及び協力性がはぐくまれるようになると,徐々に共通性という感覚や理解の共有が芽生え始める。この副産物として,特に共通性の感覚がある工場から別の工場にまで拡がってゆくと,ベストプラクティスが共有されるようになることに,我々は気付いた。自分のプロセス(今では誰もがテラペン上で見ることができる)は他工場の同輩のプロセスと類似していると理解できる理性的な人々(わが社で働く人々は皆理性的,かつ聡明である)は,プロセスの構成要素を比較し始めたのである。似ていれば,これを心強く感じる。そしてこれは様々な点でよい影響をもたらす。異なっていれば,プロセスに関与する人,特にその所有者に「これらはなぜ違っているのか?」,「違っているべきなのか?」,「より良いのはどれで,それはなぜか?」という質問がぶつけられるようになった。
Oプロセスにまたがる共同性が生まれたことによって,社内でいくつかのベストプラクティスが確認された。これは会社にとっても,工場で働く人々,そしてこれに関与する人々にとっても,素晴らしいことであった。
このような比較確認は,重役会議の場にも広まっていった。個々のプロセスを比較することができるのなら,マクロプロセスは,そしてシステム全体はどうか,と。プロセスは共通の手法(タートルモデル)を用いて,共通のプラットフォーム(テラペン)で慎重に特定してあったので,「マクロ」プロセスの所有者及び経営陣は,プロセスを生産事業所から生産事業所へと,あるいは1つの生産事業所内で,文字通り比較することができた。この比較分析の有効性及び簡単さによって我々の議論は深まりと豊かさを増し,それによって意思決定はより容易になり,正確性も増した。これは会議出席者全員の共通見解であった。
これら初期の試験的な集まりは,現在では,経営陣による標準業務へと発展している。我社のCEOは,工場長にテラペンを使って工場のパフォーマンスレビューを説明するよう要請すれば,会社の健康状態に関するより具体的な「リアルタイム」の評価を得ることができるので,もはや,パワーポイントによるパフォーマンスの月例プレゼンテーションは廃止するべきである,と見なしている。我社のテラペンシステムはすべて適切にハイパーリンクで結ばれているので,CEOや他の経営陣によって提示された疑問は,直ちに調査され,整理され,解決される。また,特に複雑な,あるいは複合的な問題であれば,憶測ではなく事実に基づいた処置計画を開始することができる。
現在,我社はリアルタイムデータへのアクセスをよりよいものとするために,すべての測定システムを統合しているところである。何年間もスコアカードを利用してきたが,このカードも今では警告灯のような役割に近くなってきている。我々の願いは,失敗に変わる前に問題を阻止できるようになって,これまでスコアカードを用いて行ってきた事後検討を止められる日が来ることである。
コスト
直接比較検討することは不可能だが,テラペンの導入コスト及び時間は,当初の私の予想よりも低かったことを,導入を検討中の皆さんにお伝えしたい。品質マネジメントに関与している多くの私の同僚と同様,TS 16949を実施するにあたり,私もまずQSとTSの比較対照表の作成,及び自分の会社のプロセスフローチャート作成から始めた。これが一番簡単かつ最速のアプローチだと思っていたからである。
しかしこの方法は間違いであることを,私は早い段階で気付いた。対照表の作成は混乱に満ちており,かなりの時間を食うものであった。フローチャート作成プログラムは,単純な1水準のプロセス用に設計されたものであり,使えないということが明らかになった。これらは,単体で直線的なプロセスに対しては非常に有効であろうが,重層構造を持つプロセスの分析,監視,マネジメントには不適切なのであった。我社がテラペンを利用することにしたのは以上のような経緯からである。プロセスの所有者,そして実施推進プロセスに関与する他の人々も,すぐにプロセスのモデルを線でつなぐことができるようになった。そうなると,各プロセスで働く人々にも簡単に理解できるようになり,テラペンの貢献は会社全体へと波及していった。
我社の実施方法は,私がこれまで見たり調査したりしてきた他の方法よりも,費用のかからないものであった(諸費用の高騰そして他にもやらなければならない重要なことが山積しているということから考えても,TS実施コストはできる限り低く抑えるべきである),そして努力の結果,我々は素晴らしいシステムを手に入れた。これが,私自身の結論である。
結論
これまで簡単に述べてきた明白な改善点に加えて,もう2点ほどお伝えしてまとめとしたい。
最近我社で行われたTS 16949:2002認証審査において,自動車産業サプライヤーとして我々が審査から得る必要があり,得たいと願っている種類のデータがわかってきた。我社を担当した審査会社審査員は,テラペンで作成されたパッケージを利用して,現地にやってくる前に我社のシステムを徹底的に評価することができた。すなわち,我社のシステムの適合性をレビューしてもらうために,また,我社のプロセスベースのマネジメントシステムをよく知ってもらうために,我々はこの審査員に,テラペンで作成した我社のシステム(審査前の評価が必要とされる部分)のコピーを送ったのである。審査員の事前準備の質が高かったので,そしてテラペン「パッケージ」の完成度の高さも手伝って,彼は審査するべき事項をきちんと押さえて,現地審査に臨むことができた。彼は,送られてきたテラペン「パッケージ」の綿密性,完全性そして視覚的明瞭性のおかげで,審査で集中すべき領域を特定することができた。この審査員と彼の率いる審査チームは,彼らが問題があるのではないかと考えたこれらの領域を深く審査し,やはり問題があることを突き止めた。また,問題が検出された時には,それが顧客固有要求事項あるいはTSに関係するものなのか,それとも我々の品質システムの不適合に関係するのか,分類することができた。
我社のマネジメントシステムには十分な透明性が備わっているので,審査員は自然と理解が深まっていくような質問をすることができた。彼はこのように質問することができた「なぜこのプロセスは,ここではこのように行われていて,あちらでは別の方法で行われているのですか? 意図的にそうしているのですか?」と。我々はまったくそのことに気付いていなかった! しかし彼は見抜いたのである。このような観察事項が測り知れないほど重要であることを,我々は知ったのである。
また,システムの透明性によって,最終報告書における弱みと強みに関する回答がより豊かで詳細なものになったことも明らかだ。
さて,最終的な結果はどうなったか? という問いに答えるのはまだ時期尚早であろう。しかし,我々の取り組みは会社にプラスの影響を与えているという方向性を示すことはできる。すでに本社と工場との間にあるギャップを発見しこれを是正した。テラペン及びプロセスベースのマネジメントを利用するようになって,初めて我々はこの問題に気付いたのであった。 可視化されたプロセスベースのシステムを利用すれば,新人をより早くより効率的にトレーニングし,システムに順応させることができる。これは新入社員に対してだけでなく,事業所間で人の移動が行われる場合,特に管理職への登用の際にも有効である。
品質に関するクロスビーの著書の題名のように「品質は無料」ではないと,私は考えている。しかし,細部に適切な注意を払い,プロセスベースのマネジメントを正しく理解し,テラペンのような強力なツールの助けを借りて,正しいことを行っているという気概を持って経営陣が取り組めば,TSの実施によって会社にもたらされる見返りは,十分価値あるものとなるはずである。
